国内唯一の養殖系の専攻科がある宇和島水産高等学校
山木 勝
- 愛媛県大洲市出身(旧長浜町)
- 近畿大学の水産学科を卒業し、社会人経験を経て、北海道大学院にて博士課程を修了
- 宇和島水産高校で35年教鞭をとり、現在は同校専攻科の水産増殖科にて、生徒と二人三脚で、魚の飼育養殖や開発に携わる
- 日本初の「プラチナサーモン」や、「美白の鯛」の生みの親
魚釣り好きが興じて魚の研究を
卒業後は、和歌山県の白浜にある水産研究所で魚の人工ふ化を基礎から学び、社会人で北海道大学院水産科学研究科の博士後期課程を修了しました。
宇和島水産高校に着任した年には、これまでの経験を活かし、イシダイの人工ふ化に取り組みました。
当時は海産魚の人工ふ化が珍しく、本校では初めての成果だったそうです。
その後、マダイやヒラメの人工ふ化も行いました。
魚に興味を持たれたきっかけはあるんですか?
今は全然やりませんけれど。
それよりも、魚の生物学的な面白さに興味を持つようになりました。
水産高校の専攻科とは?
専攻科について教えてください。
地域産業の発展と活性化のため、より専門的な知識や技能を有する養殖後継者を育成しようと平成7年に専攻科ができました。
当時、水産系大学がなかったので。
船舶系の専攻科は他の水産高校にもあるのですが、養殖系の専攻科は全国でここだけです。
(校内にある養殖場)
水産高校とは何が違うんですか?
短大と同等とみなされるので、修了すると、大学への編入学試験も受けられますよ。
水産高校で学ぶには?
学生さんはどんな方がいらっしゃるんですか?
学生は養殖や水産業などに関わる進路を希望して入ってきます。
昨年度は卒業生が6名いて、1人が水産系大学に進学、漁協に2名、鯉・真鯛・ウナギの養殖業に1名ずつでした。
県外からの学生で、そのまま宇和島で就職した者もいます。
いわゆるIターンですね。
(ウナギの養殖装置)
専攻科に入るにはどうすればいいんですか?
定員が10名です。
高校を卒業していれば受検可能なので、大学を卒業した方や働いていた方でもOKですよ。
大学では学べないこと
学生は朝から夕方まで魚の飼育管理を行います。
産卵の時期は祝祭日返上で魚の世話に当たっています。
魚の養殖や飼育に関して、専門的かつ実際的な学習ができますし、少人数制なので丁寧な指導を受けられますよ。
授業料も月約1万円なので、経済的負担も大きくありません。
魚が好きな人はぜひ入学してほしいですね。
(在校生 左から山田沙耶さん、大津有希稀さん)
学校のある宇和島は、真珠養殖も日本一で有名ですね!
専攻科設立当時、宇和島を真珠の生産・加工を含めた地域の産業にしようという気運がありました。
宝石として真珠の価値を高めるには、真珠のシミを漂白して着色する行程が必要だったり、あとは、真珠と貴金属を使って指輪やブローチを作る彫金の授業も行っていました。
ただ、アコヤガイの大量へい死や景気低迷などで真珠養殖が低迷した時代があり、専門的に勉強しようと志す学生も少なくなって..なので、今は真珠関係の授業は座学が中心です。
授業の中だけでこの技術習得をするのは厳しいですね。
後継者を目指す学生が、真珠養殖の基礎を科学的に学ぼうという目的で来てくれるのが理想です。
保護者や養殖業者は仕事に対する誇りを強くもたれているのですが、真珠養殖を含め養殖業はきつい仕事で収入も不安定だから、後を継がせたくないと思っている事情もあるようですね。
インタビューは次回に続く
次回は宇和島水産高校が生み出した幻の「プラチナサーモン」のお話しを伺います。
インタビューの続きはこちら。
質問や相談はヒメセカの交流掲示板へ!
気軽に愛媛県人と交流ができるスペースをご用意しています。
”もっとこの話が聞いてみたい”という時にもぜひご活用ください。