別子山村出身。松山・テニス指導者、近藤祥二さん(60歳)②



前回インタビューでは、近藤コーチのテニスとの出会いや指導者なるきっかけをお聞きしました。
今回は、子供たちを指導するときに気を付けていることや指導者としての喜び、そしてテニスを通じて若者に伝えたいことをお届けします。

我慢することも含めてテニスを好きになってほしい

角田
ここからは、コーチ業について少し深く聞いていきます。
子供たちに指導するときに、意識していることは何ですか?
近藤
「テニスは楽しいもの」ということを伝えるのが大前提にあるから、子供たちから笑顔が出るような練習にすることかな。
楽しそうにテニスをしてくれる環境をつくることだね。
角田
そのために、工夫していることはありますか?
近藤
子供たちを飽きさせないこと
絶えず子供たちの様子を見て、飽きてきたと思ったらすぐ練習メニューを変えたり。
初心者クラスでも上級者クラスでも、同じことをずっとやるのではなくメリハリをつけてやるようにしてる。
角田
確かに、僕がレッスン生だったときも、基礎的なメニューからゲーム性に富んだメニューまで、色んなメニューをやった記憶があります。
近藤
やっぱり皆試合が好きで、ゲーム性の高い練習でポイントを取ったときに「よっしゃ!」という感覚を身に着けてほしいし。そこでしっかりポイントを取るためにも基礎練習は大事なんだよね。
でも、長年やってきて感じるけど、テニスはミスのスポーツだと思う。
いかにミスをしないかが勝つためには重要で、我慢が求められて本当にストレスがかかるスポーツ。
そのストレスの中でポイントを取れるようになってほしいし、そこも含めてテニスを好きになってほしいなと思う。
角田
当時の僕はそれができず、いつもホームランを打ってましたね。(笑)


好きだからこそ、長く続けられる

角田
当時のチームの雰囲気が本当に好きで、大学や社会人でも雰囲気づくりの参考にしたぐらいです。
一つ特徴的だと思ったのが、子供同士で学年性別関係なく呼び捨てタメ語で話してましたよね。
これもコーチの意向ですか?
近藤
いや。これは子供たちも間で自然にそうなっていった。今でもそれは変わってないよ。
学校の部活とは違って、色んな学校から色んな学年の子供が集まってくれる。
だからこそ、学校ではできないような会話ができてコミュニケーションが楽しくなる
そういう場であってほしいから、子供同士で壁をつくることなく接してほしいよね。
角田
そうですね。年上だろうが年下だろうが皆友達だと思って一緒に練習できていた気がします。
近藤
色んな個性を持つ子供が集まって、それぞれのキャラが立ってて毎年楽しませってもらってる。
子供同士で仲良くしてくれるおかげで、いい雰囲気で練習ができていると思う。
「テニスを好きになってほしい」という気持ちが第一にあったから、年齢性別に関係なくやってほしいと常に意識している。
でも、皆高校に入ってから初めて敬語を知るらしい(笑)
角田
思わぬ弊害ですね(笑)
大学や社会人でもテニスを続ける卒業生が多い気がするのですが、それもコーチから教わった「テニスが好き」という気持ちがそうさせるのかもしれませんね。
近藤
社会人でも大会はたくさんあるし、テニスを続けたいと思ってくれるのならぜひ続けてほしいね。
その上は世界レベルになってきて思い通りにはいかないけど、テニスが好きで挑戦してみたいならそれも一つだと思う。

選手だけでなく、応援する人の喜ぶ姿に感動する

角田
指導者として30年以上歩んできたと思いますが、どういうときに喜びを感じますか?
近藤
教え子が試合で勝ったり、全国大会に出たりするときが本当に嬉しいね。
自分の目の前で練習していた子供たちが本当に頑張ってくれて、やってきてよかったな」という気持ちになる。
角田
特に、印象に残っている出来事はありますか?
近藤
「硬式テニスをやりたい」という中学生の女の子がいて、その子のためにある高校を紹介したことがあって。
その子が本当に努力して、高校3年生の県総体で優勝したんだよね。
その試合を観に行ってて、優勝したのももちろん嬉しかったんだけど、もっと嬉しかったのが親御さんの姿を見たとき。
試合中はフェンスにかじりついて観てて、ポイントを取った時取られた時全てに一喜一憂してて、その気持ちがコーチにも伝わってきたよね。
息子2人もテニスをやってたから、周りの人の気持ちや勝った時の感動、負けた時の悔しさも本当にわかる
選手だけじゃなく、応援する人の喜ぶ顔を見られるのもこの仕事の魅力だと思う。

自分にチャンスが来るまで、諦めずにひたむきに追いかけてほしい

角田
“生涯現役”でやりたいというコーチから、今の教え子たちや卒業生などに対して“テニスを通して”若者に伝えたいことを聞かせてください。
近藤
やはりテニスはミスのスポーツで、ストレスのかかるスポーツ。ミスをしないように我慢が必要だと思う。
だからこそ、諦めずにひたむきにボールを追いかけてほしい。
自分にチャンスが来るまで我慢してボールを返し続けて、粘り強くプレーしてほしい。
最初は相手のボールを返せずにイライラするかもしれないけど、練習を重ねると返せるようになって、またテニスが面白くなる。
それが根源となって、テニスだけじゃなく人生にもプラスに働くから、そういう意味も含めて「テニスを好きになってほしい」と伝えたい。
角田
ありがとうございます。
諦めないでいると、その先の面白さに出会えるのですね。
近藤
そうやって、テニスをどんどん好きになってほしいし、テニスが好きならずっと続けてほしいと思う。
コートとラケットがあればいつでもできるスポーツだから、テニスを通してコミュニケーションも深めてほしいよね。
色んな競技がある中でテニスを選んで、そこで出会える仲間との出会いは本当に貴重。
その出会いを大切にして、いい人生を送ってほしいな。


近藤コーチの運営するチームの名前は「TEAM JOY」。
このインタビューの内容からわかるとおり、由来は「テニスを好きになってほしい」という想いです。

自分にチャンスが来るまで、諦めずにひたむきに追いかけてほしい」というのは、テニスに限らず全てにおいて言えることだと思います。
自分の叶えたい夢や目標のために、上手くいかないことにも向き合って粘り強く生きていこうと改めて感じました。
出会いを大切にし、その先の喜びをイメージして日々歩んでいきたいですね。

この記事を書いた人

角田 尭史(すみだ たかし)

松前町出身。東京のWebメディアで編集者として働く傍ら、「図解で情報格差をなくす」を目標に、図解による情報共有・意志共有を促進する活動を開始。夢は、「前向きな世界をつくる」こと
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