松野町出身。松野町・アウトドアガイド、石川雄一さん(35歳)②




大学4年生の時に“自分が興味のあることを探して突き詰める”という決心をしてから、今の仕事に就くまでの、ありのままの経験を楽しくお話してくださった石川さん。
今回は現在の仕事や今後考えているプランや、地元松野町での生活で感じていることなどについてもお聞きしていこうと思います。

農業とアウトドアは一緒

岸本
今、夏はキャニオニングガイド、冬は自然薯収穫という形ですか?
石川
自然薯は5月中に植えて、夏を超えて10月くらいから収穫が始まり販売をしています。ちょうどキャニオニングと入れ替えという感じですね。

岸本
なるほど…。キャニオニングと時期が被らずできるから自然薯にしたとか、何かきっかけはあったんですか?
石川
きっかけは、マツノゴールドの師匠がいるんだけど、元々お1人でマツノゴールドをされていたんです。ただ後継者がいないというのが課題としてあって。

このマツノゴールドを特産品にしたいから一緒にやってくれる人はいないか。という話を人伝てで聞いて。じゃあやってみようということで初めて農業を経験したんです。“農業とアウトドアは一緒やなぁ”と思いました。

岸本
農業とアウトドアが一緒!?共通するところはどこですか?
石川
共通点は、まずどんなに頑張っても天候には勝てない。
キャニオニングだったら8月のシーズン時に一気に稼ごうと思っていても、1日でも天候が崩れたら、売り上げは10%も減る。でもそれはどうしようもないし、自然と向き合うというのはそういうことなんです。

2つ目は、少しずつ少しずつ作り上げるもので、いきなり成功するものではないということ。自然にはこれだという完成がないので、毎年自然環境の変化に対応しながら自分たちも成長していっています。

それから、常に工夫しながらやっていかないといけない。先を見ながら効率を考えて改善していく。まぁどの仕事もそうかもしれないけど、僕は農業をしてみた結果、アウトドアやなって思ったんです。だからやってみて良かったです。

帰ってきて初めて分かった地元の素晴らしさ

岸本
今、農業とアウトドアをやっていて、楽しいことややりがいに感じることはありますか?
石川
やっぱりストレスがないことかな。東京にいた時は、常にストレスとの闘いで、本当に自分がやりたい目標に向かって進んでいるかということと同時に、どうストレスと向き合っていくかということも考えていかないといけなかったんです。今はストレスと向き合う部分は全く考えていないから、仕事と自分の人生がうまく同化してます、これは。

でもこれって埼玉、東京、松山と経由して、地元に帰ってきて初めて分かった地元の素晴らしさかなと。地方だから感じることができているところかもしれないです。

岸本
地元に帰ってきたからこそ気づけた感じですか?
石川
まぁ帰ってこないと気づかないね、これは。今の状況が当たり前だと思っているから。

東京に出て20両編成3分おきに来る電車を見ないと分からない(笑)そのことってずっと天秤にかかっていて。何でもすぐに買えるけど20両編成3分おきに来る電車か、車で20分行かないとDVDも借りれないけど、風のささやきを感じるか…みたいな。でも今の時代はネットでほとんどの部分を補えるから、僕は地方のほうが得だと思います。実際今、DVDも借りに行かないしね…

岸本
じゃあ逆に地元に帰ってきて大変だなと思うことはありますか?
石川
人口4000人という小さい町だから、面倒くさい人がいて会いたくなくてもどこに行っても会う…みたいな。「この人またいるやん。ウォーリーみたいになってるやん(笑)」と。

例えて言うなら、都会なら松屋でバイトをしていても嫌な人がいたら吉野家に変えればいいけど、ここでは松屋のバイトを辞めて吉野家に行っても、その人は両方掛け持ちしているみたいな…(笑)色んな場面で同じ人が色んな役割をこなしているんですよね。

岸本
分かりやすい(笑)でもすごく気持ち分かります。

地域の優位性を最大化してみたい

岸本
今後仕事や松野町でやってみたいことはありますか?
石川
今会社では3つの分野を考えていて。「ヒト」「モノ」「コト」を事業ドメインにすることで地域を活性化していきたいなと。

まず「コト」は今もしているキャニオニングやラフティングプラスアルファで、エリアを広げたツアーをしてみたいなと。南予四万十地域の優位は山・川・海の近さだと思うんです。

海岸線からわずか5km程で1000m級の山々がそびえていて、そこから太平洋まで100万㎞に渡って四万十が流れ込んでいるんですよ。四万十川から滑床渓谷まで30分、滑床渓谷から成川渓谷までも30分。さらに成川渓谷から九島まで30分。例えばですけど、この4つのアクティビティがあれば南予四万十地域が線で繋がって1つのテーマパークになると思うんです。

しかも海の魅力、山の魅力、川の魅力をそれぞれ感じることができる。これをまとめて体験できるってたぶん全国的にも珍しく、このあたりだからできることでもあるんです。まぁ、例えばこんな風にこの地域の優位性を最大化してみたいなというのが目標ではあります。

岸本
じゃあ「モノ」は?
石川
あと「モノ」は、マツノゴールドをまずは作り続けていきたい。加工ができるところまで持っていきたいなとは思います。これには相当時間がかかるだろうけど、今は地道に勉強していこうかなと思っています。農業は楽しみながらゆっくりやっていきます。
岸本
「ヒト」は何ですか?
石川
最後に「ヒト」ですが、今、Googleストリートビューに地元のスポットを360度撮影して、世界中の誰もが見れるようにネット上に公開しているんだけど、これの狙いは「地域と消費者を直接つなぐこと」がしたいと思っているからなんです。

例えば、旅行者が遊びに行きたいと思ったらいろんなサイトを見て予約すると思うんだけど、1番誰が儲けているかというと、紹介サイト。消費者と直接つながっているから。地域ってその部分を自分たちでできない等の理由で今も都市部の企業などに頼っているんだけど、僕は自分たちでもできることがあるんじゃないかと思っていて。

そのためにまず地域の情報をPRする意味で、自分たちが住んでいるエリアを他の地域よりも特に“質”の部分でアップデートしていきたいと思っています。アップデートされた地域からしか発信できない情報を使って、地域と消費者を繋げたい。“暮らす人と旅する”を実現したいです!


岸本
とても楽しみですね!!では最後に愛媛のU25にこれは伝えておきたいということをお願いします。
石川
まず…大学に普通学部はない。(どや顔)

まぁこれは僕が人生やり直せるなら、経済学部には入らないと思うから言うことだけど、大学は専門知識を学べるところでもあると思うので、進路を決めるときに自分が本当に何を学びたいのかをよく考えて学部を選んでほしい。これ重要!(笑)そして当たり前!(笑)

あとは、お金を貯めない。これは日本人の悪い癖でもあると思うけど、お金って増えるものではなく回っていくものだから、貯めようと思うなら投資すればいいし、自分の心を突き動かす“何か”にお金を使った方がいいと思います。だって物はいつでも買えるし、新しいものにどんどんアップデートされていくけど、唯一無二のものだから。自分のお金を払って経験したことは10年以内に必ず何かの形で返ってきます。これも当たり前!

最後に1つ言っておくなら…地元に帰ってきて自分の地域を知りたいときには山を登ると良いです。山に登ると地形を上から全部見下ろすことができるから。Google Earthで見れば一発と思うかもしれないけど、実際に自分の目で町や山、川を見ていくと、自分の住んでいる所がどういうところかが直に分かるし、そこから学べるものや、やりたいことのヒントがたくさんあります。


学生時代はとことん遊び、就活を機に自分が好きなことや興味のあることを突き詰めてこられた石川さん。“帰ってきて初めてわかった地元の素晴らしさ”東京や松山での仕事、暮らしの経験を持つ地石川さんだからこそ、感じることができたことなのだと思います。
明るく温厚な人柄で、何事も楽しく前向きに、現在も様々な地域の活性化に取り組まれています。地元松野町を元気にしたいという熱い思いが、言葉1つ1つから強く感じられるインタビューでした。これからの活躍がますます楽しみです!

🍊石川さんがガイドを務めるフォレストキャニオンは⇒こちら🍊

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です