宇和島市在住。みかん農家・柑橘ソムリエ理事長、二宮新治さん（38歳）

二宮新治さん（38歳）※取材時の年齢

みかん農家・柑橘ソムリエ理事長
愛媛県宇和島市白浜出身
愛媛県宇和島市白浜在住

どんな仕事をしているんですか？

本業であるみかん農家の傍ら、柑橘ソムリエの理事長をしています。

みかん農家としては、今年で11年目。

現在14～15品種の柑橘を作っており、こだわりは他の農家さんより少し遅れて収穫することです。その分、完熟に近づくため味がよくなるんですよね。そのため、注文を頂いても美味しい時期になるまで出荷しません。

しかし、お客様は「それでも二宮さんちのみかんが欲しい」と言って下さるのでありがたいですね。

また、お客様からは「みかんが美味しかった」という電話や手紙を頂くことも多いんです。お客様がお金を支払ってくれるのに、普通は逆ですよね？ その言葉に、自分自身の存在を肯定された感じがします。

繁忙期は、朝晩・土日問わずに働きますが、大変でも頑張れるのは応援してくださる方々のおかげですね。

1日のスケジュールを教えてください。

なぜ今の仕事を選ばれたんですか？

自分の好きなことをしたいと、自営業を選びました。

10年の会社員時代で、誰かに指示されるよりも自分の判断で色を塗りたいタイプだと気付きました。なかでも農家を選んだのは、実家が兼業農家で、昔から身近に農業があったからです。

しかし、両親からはみかん農家を継ぐことを反対されたんです。バブル崩壊やオレンジの輸入自由化など厳しい時代を経験したため、手堅いところに就職して欲しかったようですね。

それでも、1-10まで自分でやりたいという想いと、今後の農業に可能性を感じて両親を説得しました。

いまでは、みかんをどう作るかからお客様にどう売るかまで、自分で考えて成果に繋がるのはとてもやりがいがありますね。

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一方、柑橘ソムリエは、みかん・柑橘ジュースの販売やイベント運営を行っているNPO法人です。

2015年1月に設立し、現在は、宇和島市の若手みかん農家を中心に、地域おこし協力隊や会社員・自営業の方々など、計25名で活動をしています。

元々、柑橘は品種が多いため、それぞれの甘味や酸味を数値化して、その良さをわかりやすく伝えたいという思いで集まりました。今では、メディアに取り上げられたり、200万円のクラウドファンディングに成功したりと、少しづつファンの方が増えているのを感じていますね。

やりたかったソムリエ制度も、来年から始めるので楽しみです。

これまでの人生について教えてください。

小・中・高校時代

目の前が海で後ろが山という、自然に囲まれた環境で育ちました。本格的な秘密基地を作るなど、典型的な田舎の子供でしたね（笑）学生時代に頑張っていたのは部活動です。特に吉田高校時代はラグビーに打ち込み、僕の代では県3位にまでなりました。

吉田高校では電子関係を学んでいました。元々、普通の勉強が面白くなかったので、高校では専門的なことを学びたいと思っていたんです。高校卒業後は神戸にある工業関係の会社に就職しました。

神戸の工業系企業で働いていたとき

実は、どん底の時期でした（笑）。寮は極小の個人部屋、拘束時間も長く、半年後には同期が半分になりました。しかし僕自身は、大変な環境というより、指示されたことを淡々と行うことが向いていなかったんですよね。入社1か月で転職を考えましたが、他の人もどんどん辞めるため、結局1年続けました。

反動で「次は好きなことをしよう」と、昔から洋服が好きだったことがもあり、京都にあるアパレルのベンチャー企業に転職しました。

京都のアパレル企業で働いていたとき

ベンチャー企業だったため、企画・製造・販売のすべてを行っていました。忘れられないのは、アルバイトで入ったのに入社3か月でTシャツのデザインを任されたことです。製造の一環でミシンも習いましたが、電子科時代からモノ作りが好きだったので、社内で一番上手いと言われるまでになりました（笑）。本当に楽しかったので、8年働きましたね。

しかし長く働く中で、自分のいいと思うものと会社の方向性が違ってきたのを感じたんです。自分の想いを曲げてまで働くことは性に合わないと思い、宇和島に帰りました。