宇和島市在住。井伊商店三代目、井伊友博さん(37歳)



 

井伊友博さん(37歳)※取材時の年齢

  • 井伊商店三代目(麦みその製造・販売)
  • 愛媛県宇和島市内出身
  • 愛媛県宇和島市内在住

どんな仕事をしているんですか?

井伊さん

井伊商店の三代目として、麦みその製造と販売を行っています。

井伊商店は61年前(昭和33年)に、祖父が味噌屋として創業しました。

当時から、宇和島伝統の味である『麦みそ』ひとすじ。

「いいものを届けたい。」

その思いで、創業当初から手作りで味噌づくりをしているのが特徴です。

お味噌は生き物と言われる通り、気温や湿度に応じて出来方が違います。

そのため、自分で面倒をみないと心配なんですよね(笑)。

機械化している企業に比べると生産量は少ないですが、お客様からは「手作りなので安心」という声が多く、県外や海外のお客様からもご愛顧頂いています。

祖父は現在は98歳。昨年引退したため、今は父と一緒に家族で麦みそづくりを行っています。

1日のスケジュールを教えてください。

井伊さん

お味噌は3日間かけて仕込みをし、その後季節によって3か月~半年間発酵熟成させます。

■お味噌の作業工程

麦をよく洗って水につける ⇒ 蒸す ⇒ 粉砕機でぱらぱらにする ⇒ 麹菌を加える ⇒ 麹室で発酵させる ⇒ 手入れをする(麹の余分な熱を逃がし、均一に空気に触れさせる)⇒ 麹室から麹を出す ⇒ 塩と混ぜる ⇒ 半日寝かせる ⇒ すりつぶす ⇒ 熟成するための桶に入れる

■仕込みの日(年間140日程度)

07:00-11:30 作業

11:30-12:00 注文の対応

13:00-15:00 作業

15:00-18:00 注文の対応

■仕込みのない日

08:30-       息子さんを保育園に

08:40-18:00 注文の対応

なぜ今の仕事を選ばれたんですか?

井伊さん

井伊商店を、自分の代で終わらせてはだめだと思ったのがきっかけです。

子供の頃はリーダー役を任されることが多く、食卓でもわき役である調味料の『味噌』、それを扱う味噌屋が好きではありませんでした。

そのため、高校卒業後は建築の道に進み、父も「あいつは建築を真剣にやっているから、井伊商店は自分の代で閉める」と言っていたくらいです。

しかし、松山で建築の設計・施工をしていたときに、自分が後を継がなければ家業が途絶えることを目の当たりにし、「それってもったいないな」と感じたんです。

将来は分かりませんが、今自分の息子(5歳)も「お味噌が好き。継ぎたい」って言ってくれているのは嬉しいですね(笑)。

仕事の魅力はなんですか?

井伊さん

やりがいを感じるのは、いい麹ができたときです。

味噌の良し悪しは麹の出来にかかっているため、香りや味、目でみたときに、麹が理想の形になってたら嬉しいですね。

また、味噌を半年間熟成させた後、樽を開けたときに、いい味噌ができたときも嬉しいです(笑)。

麦みそは白っぽいのが特徴ですが、実は3年前、猛暑で赤くなってしまったんです。うちの麦みそは無添加のため、少しの温度変化でも仕上がりに影響を受けやすいんですよね。

これからは、材料へのこだわりをさらに追及したいと思っています。

現在も四国産の麦にこだわっていますが、今は、宇和島産の麦を使った麦みそに向けて動き始めています。創業から麦みそひとすじ。これからも、麦みそを突き詰めたいですね!

これまでの人生について教えてください。

小・中・高校時代

幼い頃からスポーツ少年で、小中ではサッカー、高校ではハンドボールに打ち込みました。昔から盛り上げ役だったからか、学生時代は部活動のキャプテンや体育祭の団長などを任されることが多かったですね。自ら立候補するタイプではありませんが、役割で引き上げられる性格だからか、結果としてまとめ役は楽しかったです。

一方で、絵や版画・彫刻やデザインなどのモノづくりが好きで美術の成績もよかったですね。

広島での大学時代

モノ作りが好きだった上に、「人が一番長い時間を過ごし、一番お金をかけるのは家」だと考えたのもあり、高校卒業後は、広島工業大学で建築の勉強をしました。建築の勉強はとても楽しかったですね。

活躍されている方々から、建築家に大切なのは「ちょっとあいつに聞いてみようか。」という人の繋がりだと伺い、繋がりの多い地元愛媛で、建築家として独立するというのが夢でした。

建築の仕事をしていたとき

大学卒業後は地元での独立を見据えて、山口県の設計事務所 ⇒ 松山の設計事務所で3年ずつ働きました。しかし、6年間プロに交じって働く中で「こんなレベルでは建築家として独立することは難しい」と思い、自分の実力を知りました。

そんなときに、実家が近くなったこともあり、家業のことも考え始めたんです。自分が継がないと家業が途絶えるという危機感と、家業を継いだら小さくても店主として独立できるという思いで、家業を継ぐことに決めました。

3代目になってから

帰った当初は、父が味噌づくりをして、自分は営業に力を注ぎながら、味噌づくりをしていました。しかし、三代目として一人でも仕事ができるようになるために、今は営業はほとんどせず、味噌づくりをまずは習得するために父の背中を見ながら、共に励んでいます。

一方で、オーストラリアやシンガポールなど、海外の販路開拓を手掛けるようになりました。県外や海外のお客様の食べている姿が見れないのは不安ですが、今はSNSでタグ付けをされることも多く、お客様の喜んでいる姿を見たときは気持ちが上がりますね。

井伊さんを表す、価値観を教えてください。

井伊さん

 『迷ったらやる』

例えば、建築の道に進んだときや家業を継ぐと決めたときなど、迷ってもいざやってみると、導かれるように上手くいくことが多かったんです。

そのため、即断即決が基本。逆に迷いもしなかったら、断るようにしていますね(笑)。

「どうしよう」と思ったら、心が行けといっている合図かもしれません。若い皆さんも、迷ったらぜひチャレンジすることをお勧めします!

 

ライターあゆみ

井伊商店の麦みそが購入できるオフィシャルサイトは『こちら』から

メディアで取り上げられることも多い井伊商店さん。メディア掲載情報も上記URLに載っています♪

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